先日、いわゆる「特殊詐欺」と思われる電話がかかってきました。まずは自動音声でした。その音声で「あなたのこの固定電話の通信環境は、2時間以内に停止されます。詳細を確認される場合は「1」をプッシュしてください」とのことでした。いかにも怪しいですね。普段であれば即、電話を切っているはずです。しかし、たまたまインターネット回線等の契約を見直し、移行したばかりの時でした。「提出書類等で何かこちらに不備でもあったのかな?」と一瞬思い、うかつにも「1」をプッシュしてしまいました。
そうすると、オペレーターの女性に繋がりました。その方は「総務省通信基盤局」を名乗り、「あなたが契約していると思われるスマホから大量の迷惑メールが送信されており、電波法◯◯条に抵触します。もし心当たりのないようでしたら乗っ取られたり、不正使用されているのかも知れません」とのことです。その電話番号を聞いたら、080ー✕✕✕✕ー✕✕✕✕と実際の電話番号を言われました。少し焦りました。私や妻のものではなかったのですが、子どもの番号かも知れないと思いすぐ確認しましたが、該当しませんでした。「ウチではありません」と言うと「その番号は、そちら様の契約に紐付いているようですが」と言われました。要は「あなたは何かの被害者になっているかも知れません」という具合です。
最初はこちらに何か不備があったのかと思い対応してしまい、その後は具体的な番号を言われたので該当するか調べるなど、あちらのペースに巻き込まれてしました。しかしこのあたりから、さすがに色々とおかしいと気づき冷静に対応しました。私がそのような姿勢で話すと、あちらが一方的に電話を切ってきました。
もしこのまま私が舞い上がって、相手の言いなりになってしまうと、きっと「手続きのための手数料が必要なので、至急5万円を振り込んでください」などと言われていたのだと思います。皆さま、このような電話には本当にお気を付けくさい!!ちなみに後から調べたのですが「総務省通信基盤局」は実在するんですね。悪党は用意周到です。
特殊詐欺のことはよく報道されていますし知っていたのですが、実際に騙される立場に立ったのは今回初めてでした。そして少しではありますが、相手のペースに巻き込まれてしまいました。やはり焦りますね。
そういう状況になって初めて、騙される側の気持ちがわかりました。こちらに思い当たることがあったり、番号など妙に具体的なことを言われたりすると乗せられやすくなるのでしょうね。また「電波法◯◯条に抵触」とか言われると何だか焦ります。人は実際に自分がその立場に置かれてみないと、相手の気持ちは分からないのだろうな、と感じます。
他人が思い悩んでいることに、できるだけ思いを向けようとすることはとても尊い事だと思います。ですが、実際にその人になる事はできません。その人の立場に実際に自分が立ってみないと分からないことが、想像できないほど多くあるのだと思います。逆のことも言えるでしょう。自分の思いを完全に理解してくれる人は、自分以外にはいないのかも知れません。ですが、有り難いことに私たちに寄り添ってくださる阿弥陀さまがおられる、と聞かせていただくご縁の中にいます。私がどんな姿であっても、私とご一緒くださる仏さまがおられることは、大きな心のよりどころであり続けると思います。