浄福寺の梵鐘には鋳造所(者)として「大谷相模掾 藤原正次」と刻まれています。刻印によると3代目住職 正因法師の時の宝暦十年(1760年)の作とのことです。その「大谷相模掾鋳造所」(大阪市東成区)が、今も操業を続けておられると知り、10月16日(木)の午後に坊守と一緒に訪問させていただきました。

歴代受け継がれてきた「藤原正次」の名は、大坂鋳物師の伝統の象徴とも言えるようです。浄福寺の梵鐘もその一つです。作例として福井県鯖江市の誠照寺(真宗誠照寺派の本山)の「洪鐘」は鯖江市の指定文化財にもなっています。また大阪中央区の御霊神社の狛犬一対も藤原正次の作であり、技術的・美術的に優れたものとして高く評価されています。

▲33代当主 大谷哲秀氏と
33代目当主となる大谷哲秀様から詳しくお話を伺い、工場も見学させていただきました。現場では6人の職人さんがそれぞれの持ち場で黙々と作業をされていました。
お話をお聞きして初めて知ったのですが、大谷相模掾鋳造所さんは、
名古屋城の金の鯱、薬師寺三重の塔の上部鉄塔、金刀比羅宮の金灯籠、宮内庁の調度品など、世間でよく知られているような大きなお仕事を手がけています。
「名古屋城の金の鯱と、浄福寺の鐘は同じ所で作られた」というのは今後言いやすくて、分かりやすい表現となりそうです。

▲家系図と作品記録を拝見

▲工場の様子
約300年の時を経て、浄福寺の梵鐘とこちらの鋳造所がつながりました。歴史のロマンが漂う、何とも贅沢な時間となりました。

細かな記録は空襲で焼失したとのことですが、今回の現地訪問によって浄福寺梵鐘が「第17代」藤原正次による鋳造であることや、その他の作例も確認できました。他にも新たに手がかりを得た部分もあり、もう少し深掘りすべき点も見えてきました。できればまた引き続き、レポートしますね。
株式会社 大谷相模掾鋳造所
大阪市東成区東今里2丁目6-20