先日、 『佐賀のがばいばあちゃん』という小説を読みました。これは漫才コンビの B&B の島田洋七さんが書かれたノンフィクションで、マンガになったり映画化されたりで、非常に面白くて少し前に話題になっていました。
本のプロローグで島田さんはこのように書いています。 『 「 今 、世 の 中 は ひ ど い 不 景 気 だ 」 と み ん な は 言 うけ れ ど 、何 の こ と は な い 。昔 に 戻 っ た だ け だ と 俺 は 思 う 。変 わ っ て し ま っ た の は 人 間 の 方 だ 。お 金 が な いか ら 。ホ テ ル で 食 事 が で き な い か ら 。海 外 旅 行 に い け な い か ら 。ブ ラ ン ド 物 が 買 え な い か ら 。そ ん な こ とで 不 幸 だ と 思 っ て し ま う な ん て 、ど う か し て い る 。 』
人は貧しい中にあっても心の持ちようでいくらでも豊かに生きていける、そんなことを示し てくれる心温まるエピソード・ほっこりできるお話が詰まっています。今回はそこからあるエピソードを紹介します。島田さんは広島で生まれ、お父さんを原爆で亡くされてしまいます。訳あって、広島のお母さんの元で暮らすことができず、佐賀にいる母方のおばあちゃんのところで過ごすこととなりました。
小学生の時、運動会に広島にいるお母さんは来てくれませんでした。お昼は家族で一緒にお弁当を食べるというのが、その学校のいつもの様子だったようです。洋七くんはこの日はいつもひとりでした。ひとりで教室でお弁当を広げて食べている洋七くんに、担任の先生が話しかけてきました。「先生はお腹が痛くてたまらないんだ。君のお弁当はゴハンと梅干しとショウガだけで、お腹に優しそうだから、先生のと交換してくれないか」そして先生のお弁当を食べることになりましたが、見たこともないような美味しいご馳走ばかり。唐揚げや卵焼き、ウィンナーなど。こんな美味しいものがあるのかと頬張るように食べたんだそうです。
そして翌年も同じように教室で1人でお弁当を食べていると、またガラッと先生が入ってきました。 「先生、今年もお腹が痛くなってしまってな…」と、また先生の豪華なお弁当を食べることとなりました。そしてその翌年も、担任の先生が替わっても同じことが起こりました。
その事をばあちゃんに言ったら、「お前はそんなことに気づかんかったんか?それは先生の優しさなんや」と教えてくれました。先生たちは、親が来てくれず一人で食べている洋七くんに、せめておいしいものを食べさせてあげようと策を練っていたようです。ばあちゃんは、「本当の優しさは他人に気づかれずに行うものだ」とその時伝えてくれました。今、私たちにご縁があって仏法が届いています。そし て「南無阿弥陀仏」という六字の名号が届いています。その功徳・はたらきは確かに目に見えない、気づかれないかも知れませんが、本当の優しさ・慈悲は確かに私たちに届けられていることを思わされます。